後期技能検定 機械系保全2級(実技①)…続き
加工…の前に、仕様確認をしましょう
試験課題の中に、仕様と書かれている部分があります。その部分をしっかり把握しておきましょう!
イ・研削は、湿式法または乾式法のどちらで行ってもよい。
(クーラントを使用しても、しなくても良いと書かれています)
ロ・部品①及び部品②を組み立てたときの側面Ⓐ、Ⓑの段差は、0.02㎜以内とする。
(課題図に示されているⒶとⒷの段差が、0.02㎜以内にしましょうと書かれています)
ハ・部品①及び部品②の直角度は、0.008㎜以内とする。
(書かれているように、直角度が0.008㎜以内です)
二・部品①及び部品②は、課題図に示す組立図の状態で、組み合わせたまま加工してはならない。
(部品①・②は、組み合わせて加工してはいけません)
ホ・部品②のこう配部は、部品①との合わせ作業とする。
(部品①と合わせながら加工し、公差に入れましょうと書かれています)
へ・角は、油といしで糸面をとること。(加工面には油といしを使用してはならない)
(糸面取りは忘れがちになるので、加工ごとに行いましょう)
というように記載されています。最初に理解しておきましょう。
特に、二の部品①及び部品②は、課題図に示す組立図の状態で、組み合わせたまま加工してはならない。は、組み合わせたままで加工すると失格にも成りうるかもしれませんので、絶対にしてはいけません!
また、への角は、油といしで糸面をとること。(加工面には油といしを使用してはならない)は、加工面に油といしをかけないよう気を付けましょう。面粗さが悪くなるばかりではなく、見栄えも悪くなります。ただ、糸面取りをしているとかかりそうになるので、十分注意して作業してください。
部品①・②の加工
部品①・②を加工するにあたり、どちらを先に加工しても大丈夫です。
ただ、こう配部は部品①を加工して公差に入れ、部品①と合わせながら部品②を削ることになるので、先に部品①を加工する必要があります。
あと、加工する順番を決めておきましょう。加工の順番を、しっかりと頭に入れて覚え、無駄のない動きで加工すれば、加工時間がものすごく早くなります。
私が加工した順番は、高さの高いところから仕上げていっていました。
55の部分を削り、次に50と進んでいましたが、この時に気を付けないといけないのが、直角度の出し方です。
55を削り終え、50の部分に進んだとき、ダイヤルゲージで見て合わすだけでは直角度はなかなか出ません。
それではどうするのか?55部分を最初0.2ぐらい削り、ひっくり返した後直角側をダイヤルゲージで0.008㎜以内(0.008だと少しずれてくると公差から外れるので、できるだけ抑えましょう。0.001㎜がベスト)に抑えておきます。
そして、砥石の端面を使用して削っていきます。
こうすることで、上面と横面の直角度が出てきます。
ただ、この砥石の端面を使用すると面粗さが悪いので、最後は削っておきましょう!
例:55を仕上げる→50のところを砥石端面で仕上げる→端面で削ったところを下にして50を削る→50を仕上げる
少し分かりにくくてすいません。直角度を出すために必要な作業ですので、マスターしましょう!
直角を出しながら、外側の寸法をいれていきます。
次に、30幅の逃げている部分を加工していきますが、この部分を加工するときは部品が飛ばないように、ブロックで挟み込んでおきましょう。
ほかの部位をするときも、飛ぶ危険性がある場合はブロックで挟んでおくことをおススメします。
挟むときに気を付けないといけないのが、ダイヤルゲージでしっかりと直角度を出したのに、挟み込むときに動くことです。
動いてしまうと、もう一度直角度の出し直しになるので注意しましょう。
この30幅の部分は、砥石の端面で削っていきます。ですので、一度の段取りで完成できるように、両方の端面に逃がしを入れておきます。
まずは深さを仕上げ、0.05㎜浮かせて10の公差があるほうを仕上げていきます。その後反対側も仕上げて、公差の30に仕上げていきます。
測定用丸棒と、サインバーを使用したこう配加工
部品①のこう配部に測定用丸棒を当て、寸法公差に入れます。
測定用丸棒は、受験者が持参するものとなっていますので注意しましょう!
この測定用丸棒を当てて寸法を測る作業ですが、意外とやりにくいです。
測定用丸棒を固定したまま、測定器(マイクロメーター)を使用しますので、やりにくくもなります。
私のやり方は、まずは30度近くまで角度を振ります。
そのあとサインバーを使用し、ミクロン単位で精度を出しておきます。
この時にしっかりと精度を出しておかないと、部品②を組み込んだときに平行度・直角度等が出てくれません。
サインバーは、ブロックゲージを使用しサインバー自体を平行にして角度を出します。
角度が出ましたら、0.1㎜ぐらい削ってみましょう。
そのあと、測定用丸棒を使用し測定するのですが、何も使用しなければ測定できません。
私は、マグネットブロックを使用し、磁気の力で固定しました。
部品①の上面にマグネットブロックをのせ、測定用丸棒をこう配に添わせるように当てていき、こう配面と上面に当たったところで測定をしました。
その繰り返しを行い、指定寸法に入れていきます。
部品②も同じように、まずはサインバーを使って角度を振ります。
そのあと、少し削っては部品①を組み合わせて測定していきます。
気を付けておくことは、組付けたときに何点か測定しておきましょう。
機上で組み合わせるので、なかなかうまく組み合わせているかわかりません。
何点か測定し、しっかりと組みつけているか確認してください。
平面研削盤は、機械精度がしっかり出ていれば精度を入れていくのはそこまで難しくありません。
ただ、少し時間が短いのと糸面取りに時間がとられますので、無駄のない動作を確立してください。
加工順序もしっかりと覚えましょう!
最後に、あまり早く仕上げることばかりに気を取られて、面粗さが悪くならないよう注意してくださいね…。
研削工程は、基本最終工程になります。
今まで色々な工程を回ってきて、最後を託されるわけですが、技能検定をしっかり取得し腕を磨くことで、みんなから信頼されるようになると思います。
試験の練習は大変ですが、みんなから信頼される技能士を目指して、頑張ってください!
*中央職業能力開発協会から、実技試験内容や過去の学科問題が記載されている本が出ています。
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